ZEALS TECH BLOG

チャットボットによる会話広告『fanp』を開発する株式会社ZEALSのテックブログです。技術やエンジニア文化について情報を発信します。

【エンジニア対談】元トレタCTOの増井さんと語る、ZEALSのチャットボットプロダクト『fanp』のすべて(後編)

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みなさんこんにちは、ZEALSエンジニアの福本です!

こちらの記事は前編に引き続き、ZEALSのプロダクト『fanp』についてのエンジニア対談【後編】です。

後編では「fanpに対する思い」や「今後の展望」などを中心にお話させていただきましたので、その対談の模様をお届け致します。

ちなみに、対談の前編記事はこちらになりますので、合わせてお読みください!

tech.zeals.co.jp

どういう思いでfanpを作っているか

コミュニケーションへの挑戦とは?

福本:島田さんがZEALSでチャットボット開発をはじめた経緯を教えてください。

島田:昔ソフトバンクのペッパーがユーザーに返事をしているのを見て、「これからはコミュニケーションだ」と感じました。コミュニケーションはまだ機械に代替されていないと考えていて、そこに可能性を感じました。
ロボットに取り組んだんですが、先行きが見えなくて...。そこで、MessengerのAPIが公開されたんです。

福本渡りに船ですね。

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島田:2週間ぐらいで実装しました。チャットボット元年と言われ始めて、それに賭けた。

増井さん:ロボット事業の前は受託開発をやっていた?

島田:はい。しかし、3ヶ月間の受託を経て「これは”日本ぶち上がらない”んじゃないか?」と気づきました。

福本:そこでZEALSのVISIONが出てくるのはさすが、ありがとうございます。
僕のfanpへの思いですが、コミュニケーション自体が挑戦しがいのあるテーマだと思っています。
人類の発展は言語やテキスト、要するにコミュニケーションの力のおかげ。ただ、そこから先に進化できてないと感じています。電話やチャットなどツールは進化してますが、言語やテキストを使うこと自体は変わっていない。
ただ、コミュニケーションを進化させるのはやはりテクノロジーだと考えてて、それをモチベーションに開発をしています。

島田:もっと進化するべきだ、と

福本:はい。人間は誰かとコミュニケーションを取るときに、自分の脳から相手の脳へと直接情報を送っていない。テキストや言葉といった、”媒体”を絶対に挟んでいます。「”媒体”が置き換われば、勝手にコミュニケーションも変わる」という感覚を僕は持っていて、ただ、テクノロジーが媒体として入り込めてない。
僕はコミュニケーションの領域に衝撃を与えれば、社会に相当インパクトがあると考えています。なぜなら、コミュニケーションを取らない人間はいないからです。

増井さん:その通りで、その考え方はすごく良いと思う。

チャットボットはビジネスにならない?

福本:最初は音声の分野も考えたんですけど、テキストと比較してボトルネックが少し多いと感じました。音声は「よしなにする」のがすごく難しくて、単純な受け答えでも if 文が多くなってしまうイメージがあります。

増井さん:単純に音声認識の問題もあれば、発話もまだ流暢ではない。それで言うと、チャットボット自体がビジネスにならないのは、ブラウザ自体がビジネスにならないのと同じ。

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島田さん:それ、すごく良い表現ですね。

増井さん:「チャットボットが作れます」というのと「HTMLが書けます」というのは、同じレベルのものだと思っている。それ自体よりも、それをどう定義して設計いくかの方が大切。

福本HTMLを書くこと自体より、ページをどう作るかの方が大事だと。

増井さん:そう。それが大事になってくるので、ビジネスは今後その方向に移っていくはず。

福本それこそ「PowerPointが使えます」という同じレベル感で「チャットボットの会話が作れます」となれば、その先が求められると。

増井さん:そうそう。今もホームページを作るツールはたくさんある。しかし、多くの人が結局HTMLを書いているという状況で、ある程度は機械で自動化できるが、コミュニケーション設計は劇的に難しい。簡単な受け答えはツールで自動化できても、コミュニケーションの設計はある程度プロの手を借りて作る形になるはず。

島田:昔はfanpもユーザーが会話を作ることができるようにツールをオープンにしたんですが、誰も会話を作ってくれなかった。増井さんが言うように、社内にプロが居て進める形になっています。

増井さん:もしくは、必死に啓蒙活動をやるか。本を書く、講演活動を毎月行うなど、成功確率は低いしコストも掛かるが一つのやり方ではある。

福本そう考えればセールスフォース・ドットコムは本当に凄い会社ですね。

これからfanpをどうしていきたいか

目指す先は”稼げる”こと?

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福本色々と話をしてきたところで、最後に少し未来の話を。想いのベースで結構なので、これからfanpどうしたいのか。
僕から話をすると、まずはちゃんと稼げるものにしたいと思っています。少しいやらしく聞こえるかも知れないですが。

増井さん:いいね、稼げるかどうかはすごく大事。

福本なぜかと言うと、会社の売上ももちろんあるが、それ以上にチャットボットという選択肢を普通にしていきたいから。
テクノロジーの歴史を振り返ると、当初はおもちゃだった技術が世界を変えてきました。PCとかインターネットもそうです。元々ギークな人たちが触っていたものですが、今はギークではない普通の人もインターネットに触れています。
僕はチャットボットをそうしたいと思ってて、そのためには「チャットボットって稼げるモノなんだ」って思ってもらえるものにしないといけない。”稼ぐ”対象はお金じゃなくて、データやフォロワーでもいい。
企業がWebサイトを持っている、個人がSNSのアカウントを持っているのと同じ感覚で、そこにチャットボットを普通に選択肢として乗せたいんです。

Facebook Developer Circleの登壇でもこの想いを皆さんに話しました!

tech.zeals.co.jp

 

増井さん:チャットボットは選択肢として今は入らないと。

福本:20年前、会社がWebサイト持つのは当たり前じゃなかった。でも今は当たり前になっている。僕はチャットボットをそうしたいし、fanpはそれができると思っています。

島田:そうですね、自動応答でコスト削減という文脈のチャットボットではないですからね。

福本:そうです。さらに、チャットボットが普通になれば”情報の双方向化”が進むと考えています。現状のインターネットは、情報のやり取りが一方向だと感じます。自分で情報を調べられる人は良いですが、そうではない人の方が多いはずで、それを平等にしていきたい。

増井さん:確かに。僕たちエンジニアも自分のドメインの中だと欲しい情報にはたどり着くけど、ドメインを超えると分からなくなる。

福本:アクセスする前にリソースを提供するというのは、 GoogleやAmazonもできていないことなので。 レコメンドはありますが。 いわゆる”GAFA”の検索エンジンの前に出られる可能性という文脈でも、チャットボットは挑戦しがいのあるテーマだと思います。

増井さん:スタートアップを表す言葉に「売上は全ては癒す」というものがあってスタートアップはインパクトがあれば、売上は置いてきてもいいと考えがある。その考えは短期的にはうまくいくけど、長期的にあまりうまくいかないと感じる。「売上は上がらない」と決めつけて、売上ではなく夢を追っていることにするスタートアップが多い中で、ちゃんと”稼げる”ことを意識しているのはすごくいい。

チャットボットのOSSを開発?

福本:ありがとうございます。島田さんは技術的な側面も含め、この先のfanpをどう考えてますか?

島田僕はチャットボットでもOSSがあるといいと思ってて...

増井さん:NetflixもChaos Monkeyをはじめ、凄いOSSをたくさん出している。

www.publickey1.jp


島田
やはり意味があるのはプロダクト。良いものを作るためにOSSにして、インターネットという海に衝撃を起こしたい。

福本:ありがとうございます。増井さんはOSSを作られてますよね。

増井昔PukiWIKiというのを作った。メンテナンス権は既に他の人に渡している。

福本:よくある話で日本でOSSをは難しいとされています。日本でOSSという文化はどうすれば根付くんでしょうか。

pukiwiki.osdn.jp

 

増井さん:単純に、日本語を話す人口が世界規模で見ると少ない。PukiWiki以外にもOSSを開発しているが、日本語で公開すると続かないから最初から英語でやっている。OSSにすることは手段なので「それで何をしたいのか?」という話がある。

まずは日本で作られたOSSか海外で作られたOSSかっていうのがありますね。

日本語で開発が行われているOSSは難しいなと思います。日本語を話す人口が世界規模で見ると少ない。
あと会社としてOSSをリリースするときは「何を目的にするか」というのが大事だと思います。リリース自体は目的ではなく、それを使って「何をするか」が目的なので。

福本:確かに、OSS化が目的化することはよくあります。

増井さん:NetflixやFacebookのOSSは、明らかに自社のブランディングや採用のためにやっている。

島田確かにそうかもしれないですね、ハッカソンなどもエンジニアが集まりますし。

増井さん:ブランディングにまで踏み込んで行けるのは、企業に体力があるから。機能差があるフェーズでは、マーケティングやブランディングはあまり効果がない。なぜなら機能で勝てるから。 次に、機能で勝てなくなった時に、マーケティングやブランディングの話が出てくる。
要するにエンジニア採用で言えば、GAFAクラスはどこの会社で働いても得られるものはほとんど変わらない。GoogleのエンジニアはFacebookにもAppleにも入れるイメージ。
その中でなぜその会社で働くのかと言うと、「Facebookで働くことへのブランド」や「未来への期待感」で、それを感じさせるために各社がOSSに取り組んでいる。

福本:なるほど、完全にマーケティングですね。

増井さん:会社が大きくなれば、必ず同じフェーズの会社と技術が拮抗する。どこかで機能差がなくなるから、ブランディングをはじめ様々な施策をやる必要が出てくる。

福本:ありがとうございます。

必要なのは、信念とマーケティングの合わせ技?

増井さん:マーケティングの話が出たが、今までは「誰かが作りたいと思ったものをどう創るか」ということを考えていた。今度はそうではなく「お客さんは何が欲しいのか?」という、市場から導き出してマーケティングからプロダクトを作っている。信念でプロダクトを作ると、信念の大きさがビジネスのサイズの限界値になるので。

福本:増井さん、先日個人ブログでそれについての記事を書いていましたね。

note.mu


増井さん:そうです。創業者の信念がアテにできなくなってから取るべき方法はふたつ。「ビジョンを持ってる人を連れてくる」か「マーケティングリサーチを徹底的に行うか」です。勘で事業を進めると施策を外してしまうので、きちんと狙いを定めることができるようにならないといけない。

福本計算することができるか、という感じですね。

島田:最初からマーケティングドリブンなスタートアップは存在するんですか?

増井さん:多くの場合、スタートアップはそうならない。

福本:最初から市場があったら、その前に大企業が攻めてますからね。

増井さん:そう。市場があると大企業には勝てないので、そこは合わせ技で行かないといけない。ある程度まで主観で進めるほうが良いことがたくさんある。

島田:主観のほうが明らかに速いですからね。

増井さん:そうそう。リサーチにはお金も時間もかかる。リサーチに3ヶ月掛かるとなれば、それを待って意思決定するという速度はあり得ない。ただ、数を打つだけでは成功確率が低く、1発目が当たっても2発目以降が当たらない。なので、マーケティングの考えはプロダクト作りではすごく大切。

福本:なるほど、信念だけでも限界があって、マーケティングの力がプロダクトには必ず必要だと。僕たちもプロダクト開発で参考にします。

本日はfanpについて面白い話ができました。
増井さん、島田さんお二人ともありがとうございました!